人間ピラミッド一人にかかる荷重は?

人間ピラミッド一人にかかる荷重は?

  • 皆さんおはようございます。オフィス・宮島です。秋分の日になり昼と夜の時間が同じになりました。これからは夜のほうが長くなってゆきますので、読書などをしてみてはいかがでしょうか?
  • 前置きは長くなりましたが、本日はこれについて述べてみようと思います。

人間ピラミッド

  • もう運動会は終わったと思いますが、小中学校の運動会で多く見られる競技の1つとして「人間ピラミッド」というものがあります。しかし、近年は写真のように高層化する傾向があり、それによって最下層の生徒が骨折するなどの事故も多発しています。
  • では一人当たりどれくらいの荷重がかかるのでしょうか?

生徒一人にかかる荷重は?

  • 今回は計算を単純化するため、体重50kg(中学2年生の平均体重)として計算します。モデルは後ろ足が前足の3倍の太さを持つテーブル(というよりは学習デスク)とします。(下図参照)

計算モデル

  • これを最下層5人、2段目4人、3段目3人、4段目2人、5段目が1人となったモデルを考えます。まず、後ろ足が前足の直径の3倍であるから、接する部分の面積は9倍になります。前に25kg、後ろに25kgかかるとして、足1本にかかる荷重は25kgの半分、12.5kgかかります。
  • 次に、接する部分にかかる荷重、即ち圧力を計算します。断面が円形の足と考えるので、面積は(直径d / 2)*(直径d / 2)*円周率πで求まります。ゆえに面積はこのようになります。

面積

  • 面積はそれぞれ0.00159[m^2]、0.0143[m^2]となります。次に12.5kgを重さの単位[N:ニュートン]に変換します。次に示す式で変換します。

変換式

  • mは質量[kg]、gは重力加速度[m/s^2]です。重力加速度というのは、物体を落とした時に、地球の自転によって生じる物体の速度を増やすものです。質量に重力加速度をかけてやることでkgからニュートンに変換することができます。ただし中学校では「質量100gの物体が作り出す力が1Nである」と習います。これで計算すると122.5Nとなります。
  • これを前足および後ろ足の面積で割ってやると圧力が求まります。そうすると…前足1本には77044[Pa]、後ろ足1本には8566[Pa]となります。ちなみに[Pa]とは「パスカル」とよび、1平方メートルあたりにかかる荷重を表わします。
  • ピラミッドを作る際、上の人は下の人2人によって支えられるので、全荷重の半分が一人にかかります。それがある1点に集中します。下の人1人には約8.7kg加算されます。最下層の人1名には8.7kgが4人分かかるので、8.7×4=34kgとなります。2列目からは一人に5人分の荷重がかかるので、(8.7×4)+(8.7×2)=51.4kgになります。
    段数が増えたり、重い人が上に乗るとこれより大きくなるのは簡単に想像できると思います。
  • ちなみに人骨のヤング率(その物体を倍の長さに引き延ばすために必要な力)は10[GPa]~30[GPa]、即ち100kgあればOK…ということです。これを行っているのは成人より骨の柔らかい子供だから、より小さな力で骨が変形するのが簡単に理解することができるでしょう。

3段までで止めるべき

  • もし、このブログを学校の先生が見ていただいているのならば、ぜひこのようにしてください。
  • もし実施するのならば、人間ピラミッドは最高で3段、6人にすべきでしょう。これ以上やると最下層の生徒に多大なダメージを与えるのでやめるべきです。

最後に

  • たとえば、小学校にある遊具に重大な問題が発生したら、それで遊ばせることを即座に禁止させますよね。実際に腕の骨を折っている生徒が出ており、「危険である」ことが証明されているにも拘わらず、なぜこのような競技を行うのですか?見栄ですか?それとも思い出作りですか?
  • また、生徒たちも「危険である」ということを先生たちにきちんと説明する必要があると思います。命に係わるものなので、遠慮せず堂々と主張しましょう!

本日はここまでといたします。ご清聴ありがとうございました。

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