稲について

稲について

  • 皆さんこんばんは。オフィス・宮島です。本日は日本人とは切っても切れない「稲」について解説したいと思います。

稲

稲はもともと野生種だった

  • 弥生時代、大陸から渡来人によって稲作がもたらされてから2千数百年、農学者や植物学者たちが品種改良を重ねに重ね、非常に上品な甘みを持つおいしいお米が皆さんの食卓に出てきます。
  • もともと、「稲」というのは中国南部または東南アジアが原産地です。中国南部で生まれた稲は「短粒米」と呼ばれる丸っこい粒を持つ稲です。これは現在我々が「ご飯」として食べているお米の御先祖に当たるものです。
  • 東南アジア原産の稲は「長粒米」と呼ばれる長細い粒を持つ稲です。これはインド、スリランカ、アフリカ、欧米諸国で使用されている「ご飯」と食べているお米の御先祖に当たります。

長粒米・短粒米

  • 短粒米の野生種は「水が浅く乾季には水が干上がる」ところに自生します。縦に伸びるコシヒカリやササニシキといった「栽培種」と異なり、背が低く横に広がるという性質があります。また、一度にたくさんの種(もみ殻)を付けるのが特徴です。

栽培種と野生種(短粒米)

  • 長粒米の野生種は「一年中深い水が張っている場所」に自生します。短粒米に比べ、非常に背が高くなります。(3メートル以上)
    また、種があまりたくさんできず、地下茎で増えてゆくという特徴があります。

浮稲

  • このように雨が非常に多い熱帯雨林の稲は背が高くなり、雨の少ない温帯の稲は背が低くなるというその土地の気候に適応した形になっています。
  • 種の形状も栽培種と異なっています。この写真を見てください。野生種には「芒(のぎ)」と呼ばれる突起(写真赤丸部分)がついています。栽培種にはこれが無いあるいは短くなっています。また、種も全体的に黒みがかっています。

野生種と栽培種の種もみ

  • なぜ野生種は芒が長いのかというと、動物の体について生活領域を広げたり、土に潜り込んで確実に発芽するよう厳しい自然条件の中で生き抜けるように進化したからです。

おまけ・ササニシキは絶滅危惧種?

  • 話は大きく変わりますが、皆さんがよく口にするコメの品種は何でしょうか?たぶん「コシヒカリ」だと思われます。特に魚沼産のコシヒカリは「最高級ブランド米」として日本全国に知られています。
  • なぜコシヒカリが日本全国でよく栽培されるのかというと…非常に上品な甘みでしっかりした味のため、多くの人の好みにマッチしているからです。しかし、この米は「コメの味」がしっかりしているため、寿司に使用すると魚の味を引き立てるよりコメの味が引き立ってしまうそうです。
  • そこで、寿司職人が「最も寿司に合う米」として絶賛しているのがササニシキなのです。これは、ササニシキはコシヒカリほど強い甘みを持たずあっさりしているから、魚のうまみを最大限に引き出すことができるからです。しかし、ササニシキを作っている農家は…ほとんどいません。
  • この表をご覧ください。2009年のコメの作付面積のランキングを表したものです。
順位品種名作付比率(%)収穫高収穫高比率(カッコ内順位)
1コシヒカリ37.3%3,094,000t36.5%(1)
2ひとめぼれ10.6%842,700t10.0%(2)
3ヒノヒカリ10.3%805,300t9.5%(3)
4あきたこまち7.8%656,700t7.8%(4)
5キヌヒカリ3.3%257,500t3.0%(6)
6ななつぼし3.0%200,900t2.4%(7)
7はえぬき2.8%258,400t3.1%(5)
8きらら3972.4%167,400t2.0%(8)
9つがるロマン1.6%155,300t1.8t(9)
10まっしぐら1.3%118,000t1.4%(10)
11あさひの夢1.2%101,100t1.2%(11)
12夢つくし1.1%72,400t0.9%(14)
13こしいぶき1.1%89,900t1.1%(12)
14ほしのゆめ1.0%67,100t0.8%(15)
15あいちのかおり0.9%82,200t1.0%(13)
16ハナエチゼン0.6%
17ハツシモ0.6%
18ササニシキ0.6%
19彩のかがやき0.6%
20おぼろづき0.5%
  • 上の表を見てもらえばよくわかりますが、コシヒカリの生産量は309万トン、作付比率が全体の4割弱を占めており、トップとなっています。ササニシキは作付比率がわずか0.6%しかありません。このまま推移すると、いずれどの農家でもササニシキを作らなくなり、日本の田んぼから「絶滅」してしまうでしょう。

本日はここまでとします。ご清聴ありがとうございました。

コメント


認証コード2232

コメントは管理者の承認後に表示されます。