その熱量表示、本当に正しいですか?

その熱量表示、本当に正しいですか?

  • 皆さんこんばんは。オフィス・宮島です。本日は熱量に関する変わった話をしたいと思います。
  • 皆さんは、ファミレスに一度は行ったことがあると思います。その時、メニューにこのようなものが書いていないでしょうか?

カロリー表示

  • 拡大部分を見ると、提供される食品の熱量(カロリー)が記載されています。しかし、この熱量は本当に正しいのでしょうか?

これだけ違う食品の熱量

  • これを読んで(私もそうですが)この値が「正確なもの」と思うはずです。しかし、実際に調べてみるとこのようになっています。

●有名チェーン店のテイクアウト用ヒレカツ
 表示:365kal → 実測値:504kcal 誤差率38%

●有名カレー店のハンバーグカレー
 表示:929kcal → 実測値:1114kcal 誤差率19.9%

●大手ファミレスのミックスプレート
 表示:823kcal → 実測値:909kcal 誤差率10.4%

  • ダイエットをしている人にとっては非常に悲しいことですが、健康増進法によってカロリー表示は表示されている数値の±20%までの誤差が許容されています。(同じ料理でも食品の産地や季節によって数値(熱量)が変化してしまうため)

罰則はあるの?

  • これだけ表示の実測値が異なっていると、当然業者に罰則が及ぶと思いますよね。しかし、表示と実測値の誤差が許容値を超えていても罰則は特にありません。
    このような表示に関することを専門に取り扱っている消費者庁では、「情報提供がない限りその数値が正確であるかないかの調査をしない」とのことです。

食品の熱量測定方法

  • どのようにして、食品が持つ熱量を測定するのでしょうか?調べたところ、2通りの方法があります。
  1. 検査会社が実際に測定する
    検査会社に調査を依頼して、食品の「カロリー」を測ってもらいます。測定するための機械は下に述べた機械を使います。

    ●燃焼式カロリーメータ
    食品の重さを0.0001gの精度で測定し、酸素を充填したるつぼの中に火をつけた錦糸を入れて燃焼させます。その時発生した熱を一定温度に保った水に加えます。そしてその時の温度上昇から熱量を割り出します。

    ●非燃焼式カロリーメータ
    専用のミキサーで食品を細かく砕いたのち、近赤外線を照射して反射光の波長の違いを用いて成分を特定します。そして、特定した物質から熱量を算出するというものです。


  2. 文部科学省が作成した「日本食品標準成分表」をもとに算出する
    実際に①の方法を使って測定すると、時間とお金がかかるため、コストのかからない「計算」を使うということが多いようです。先ほど述べた3つの例はこの方法によって割り出されたものです。
    しかし、この方法では食材が多くなると計算が複雑になり、油で揚げる場合は食材の形状や吸水率などを踏まえた油の吸収率を設定しなければならないため、計算する栄養士によって計算結果が大きく異なってしまう、というケースがあるようです。

「カロリー表示」を鵜呑みにしてはいけない

  • 2005年に、大手ファミレスの「すかいらーく」が提供する宅配サービスメニューのポテトフライが、「253kcal」と表示されており、それを信じて食べた糖尿病患者が体調を崩すという事故が発生し、その原因を調べたところ、ポテトフライの熱量が表示値の2倍以上の「645kcal」であったことがわかりました。
  • また、「低カロリー」「カロリーオフ」「カロリー控えめ」「ゼロカロリー」といった言葉を見かけることが多いと思いますが、この実態はこのようなものです。

●ゼロカロリー
100グラム(飲料水の場合は100mlあたり)あたり5kcal未満であればOK

●カロリー控えめ、カロリーオフ
食料品の場合は100グラム当たり40kcal未満、飲料水の場合は100mlあたり20kcal未満であればOK

  • このような「強調表示」はお役所の「文法」を知らないと理解できません。これらの表示を「読んで字のごとく」捉えると、非常に痛い目に遭います。消費者である我々も自らの身を守る術を持たなければなりません。
  • 消費者問題研究所代表・垣田達哉氏は「国にはカロリー表示を普及させようとする考えがある。現在は任意表示なので、あまり厳しくチェックすると表示しない業者が増えてくるから、業者に甘い仕組みになっている。そうした背景を理解したうえで、同じメニューのカロリー表示を比較する癖をつけるとよい。(中略)記された数字を鵜呑みにしないことです」と述べています。数字には「裏がある」ことをしっかり覚えておいてください。

本日はここまでとします。ご清聴ありがとうございました。

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